出逢う Ⅱ


阿修羅展
長い列に20分待ち。
こんな雑踏の中で仏像にお会いするのかしらと気が重い。
博物館に入るとそんな小さな気持ちなど吹き飛ばされる。
十大弟子像、八部衆像、菩薩像、阿修羅像
息をのむ存在感で、ただ現れ出た、そんな感じだった。
見入ってしまって閉館時間を20分も過ぎ、
追い立てられるように博物館を出ると
どんよりとした黒い雲が割れて、そこには
輝く青い空に、陽に照らされた茜雲がパッ〜と見えた。
誰にも見られぬように、そっと手を合わせた。

一時間もしない内に、割れた雲はまた閉じて、
まるで御清めのように、
雨がパラパラと降り出し、そしてすぐにやんだ。