涼風

梅雨の晴れ間、 山野草を手に
とあるお寺を訪ねる。
たっぷりと打水をされた玄関の中央には
蓮の大鉢が置かれていて、花や葉の間から
清い風が部屋の中へと入ってくる。
ご住職様来窯の時の話題、李朝の餅型から始まり
高麗、唐津と焼き物の話は尽きない。
お茶室にて一服頂いた。
床には唐銅の端正な水注に
紅底木槿と水引が生けられている。
お茶碗は高麗期の青井戸。
高台の梅花皮が自然で優しい。
見込から飲み口まで広がる様は
床の木槿の花びらと見紛う
連子窓のすぐ側で蝉が急に鳴き出した。
梅雨明けは近い。