三鈷の松


明日は貴人来雲との事。
ご案内する所の下見にと、今朝「一切経の滝」に出かける。
行基が修行したという滝にたどり着くまでに一本の松に出会う。
「三鈷の松」行基が仏具の三鈷を投げて、たどり着いた場所が
高野山と雲仙。その二箇所にこの「三鈷の松」が育ったといわれている。
赤松、黒松、白松の白松に属するらしく、3本の針葉が珍しい。
まもなく滝に着く。誰もいない滝はとうとうと流れ落ち、
その爆音は時さえ打ち消した。
修行堂の中に入ると、ろうそくの火が灯っている。
行き帰り、誰にも会わなかったのに・・・不・思・議。
恐れのような気持ちがよぎったが、
お参りをしてろうそくを消して帰る。
深閑とした林の中で、ふと自分の姿が芥子粒のように見えた。